コア・ブロック・システムを採用しているが、
ジムは一体型のモノコックボディであり、
ガンダムはビームライフルを装備できる程の高出力な核融合炉を持つが、
ジムはスプレーガンと言うショボショボな兵器しか装備出来ない。
また、装甲の強度が桁違いであり、
基本的に、設計及び構造は全く別物である。
プロトタイプと言うのは、原義的には量産モデルに発展させることが前提の
量産前での問題点の洗い出しのために設計・仮組み・製造された原型機の事を指し、
このことからもガンダムは、ジムのプロトタイプではない事が伺える。
では、ガンダムは、どのような意味合いの機体だったのであろうか。
連邦軍は、ジオン公国よりも10年は遅れていると言われていたが、
ガンダムは、1年戦争当初に配備されたザクを大きく凌駕する性能が
与えられている。この事は矛盾でもなんでもない。
リスースのないジオン公国が、地球連邦政府に戦争を仕掛ける事が出来たのは、
新兵器たるモビルスーツを開発できた事に拠る所が大きく、
当時の連保軍は、モビルスーツの開発に躍起になっていたのは想像するに容易い。
故に、ガンダムは量産目的のプロトタイプなどではなく、
技術を開発し、蓄積する為に、量産目的ではなく、採算性を度外視した
開発機もしくは、試作機と言った位置づけだったのであろう。
すなわち、ワンオフのスペシャルな機体であったと言う事である。
この事は、パイロットの帰還率の向上と貴重な実戦データの回収のため、
腹部に脱出用小型戦闘機コア・ファイターを内蔵するコア・ブロック・システムを
採用した事でも明らかである。
兵器と言うのは、開発もしくは、発明しただけでは意味を持たず、
量産できてこそのものであり、ラインで量産をする技術を持たなければ、
どんな高性能な兵器を開発しても意味はない。
ジオン公国は、戦争終盤にはガンダムと同レベルのスペックを持つ
MS-14 ゲルググと言うMSを量産して配備している事から、
ジオンは、連保軍に比べて驚異的なテクノロジーを持っていた事が理解できる。
戦争に、「if」はないが、もしガンダムが量産できたとしたらどうであろうか。
おそらく、戦局に変化はなかったものと思われる。
先にも述べた様に、ガンダムはハイスペックな機体であり、
ニュータイプと目されていたアムロ・レイであればこそ、
乗りこなして大きな戦果を挙げる事が出来たが、
その他多くのパイロット達では、操縦するのも難しかったであろう。
ザクに対しては、その装甲から戦死者を出さずに済んだかもしれないが、
ビーム兵器を装備するゲルググが戦線に投入されれば、
ガンダムの装甲は意味をなさない。
すなわち、新兵器であるモビルスーツに対して多くのパイロットの練度は低く、
車で例えるならば、F1をドライブするよりも高性能な一般車の方が、
乗りこなしやすいと言うことである。
その意味で、ザクと同程度のスペックを持つジムと言う機体は、
大勢のパイロットにとって扱いやすいMSであったろうし、
量産に漕ぎ着けた連保軍は、その圧倒的なリソースを活用して、
総力戦に持ち込んで物量で圧倒し、結果、1年戦争を勝利した。
今日の講義はここまでとします。
次回のモビルスーツ史は、「CK3-25 ミクラス」についての講義となるので、
必ず予習をしてくるように。それでは必ずお元気で、ごきげんよう!
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