現在、ソープ、デリヘル、キャバクラで働いており、
風俗に比べて割の合わないＡＶに出ているのは、息抜きだと言い、
風俗の仕事はきつくて体が壊れるので「今」だけである事や
過去、男に騙されて１０００万もの金を取られた事から
恋愛はしたくなく、今は仕事に生きているけど、いつかは結婚がしたい事。
中出しセックスは本当のセックスで、ゴムを使用すると疑似セックスであると言い、
Ｖはこれで最後かもしれない事や過去に妊娠して堕胎した事などが
色々なシチュエーションの中で語られている。
肝心のハメ撮りであるが、２パート用意されており、
一つは、田園風景広がる北海道の雄大な自然の中での野外セックスで、
ロケーションのせいであろうか、エロいと言うよりは、
不思議な感じのカラミに見えた。
２つは、ホテルに入ってのカラミであるが、野外セックス後、
シャワーを浴びていない状態で、ハメ撮りをする監督の変態性が光り、
女優は最後には足がつる程にハッスルしているものの
２つのハメ撮り共に、「イク」と口にするシーンが皆無であり、
カラミ自体は悪くないものの個人的にはパフォーマンス至上主義者である為、
実用的なものではない。
とは言え、総じてハメ撮りドキュメントとしては悪いものではない。
それはひとえに、あずみ真奈と言う女優さんが魅力的であるから。
色々なつらい経験を語り、家族を心の支えとし、
自ら病んでいると語るものの人は誰しも少なからず病んでいる事を鑑みれば、
彼女は、人間臭く素敵な一人の女性である。
だからこそ、巷には糞の様なエセドキュメントが満ち溢れている中で、
本作はクオリティの高いドキュメント作品であると言い切ってしまおう。
しかしながら、個人的に梁井監督に求めているものは、
普通のハメ撮りドキュメントなんかではない。
『カオスダイバー梁井一が魅せる混沌の深淵』こそが見たい。
だから、ここまでは僕の欲求を満足させる作品ではない。
本編終了後、「中出しって何ですか」とテロップが出ると
旭川のホテルで監督がデリヘル嬢を呼ぶ件が展開され、
オナホとディルドーを使ってパコパコする画面が流れ、
ボイスチェンジャーで加工された音声での中出し交渉のやり取りがあり、
中出しセックスしている事が示唆されているが、
ハッキリっ言って何のことか意味が解らない。さっぱり解らない。
さらに画面がラストシーンに切り替わる。
そこには、監督と同じリングを嵌めた奥様と思われるくつろぐ女性が映し出され、
さらには、彼女が見るタブレット端末の画像が映し出される。
ここで何もかもがひっくり返る。
「中出し愛好家 あずみ真奈」と言う作品が消滅してしまう。
「中出し愛好家 あずみ真奈」と言う作品は、タブレットに映された画像に
対をなすただのアイコンと化してしまう。
即ち、対比、対照、コントラスト。
昼と夜、光と影、陰と陽、そして生と死。
自分の奥さんを起爆地点にしてサードインパクトを起こし、
「生出し愛好家」などと言うタイトルの作品を全てご破算にして
創出した大胆なカオス。
中出しの根本、根源、とその行きつく先の2つに未来の対比なのだろうか。
監督は、何も示唆しないどころか「中出しって何ですか？」と逆に質問してくる。
生易しくない監督。そして、表現方法がカオスすぎる。
ＡＶでこんな事をするのか。逆に言えば、ＡＶでしか出来ない事。
とは言え、この作品が興味深いのは、
９９％がエロビデオで出来ていることであり、
最後の最後の１％で、アダルトビデオに化けている事である。
個人的には抜きに値する作品ではなかったけれど、
客観的に見ると普通のハメ撮り作品であり、
抜き目当ての人々はこれでよしとするであろう。
まさに、エロビデオに擬態化したアダルトビデオと言う手法。
結果的に、すごく斬新である。
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